エポワス Époisses de Bourgogne
- 分類:ウォッシュチーズ
- 産地:ブルゴーニュ地方、他(フランス)
- 乳種:牛乳
- 熟成期間:4週間以上
- 形状:円盤型
- 直径:10~11cm(大型もあり)
- 高さ:3~4.5cm
- 重さ:250~300g
- 脂肪:50%以上
- 美味しい季節:1年中(特に秋冬(と初春)
■解説■
食べやすいウォッシュチーズの入門編が先にあげたポン=レヴェックだとすると、臭いウォッシュ チーズの決定版というとこのエポワスになるでしょう。
1815年のウィーン会議の余興で行われたチーズ品評会で、ブリー・ド・モーに続く第2位に選ばれたのが実にこのエポワスでした。
16世紀の初め、エポワス村のシトー修道院が開発し、かのブリア・サヴァランが「チーズの王様」と言ってから広く知られるようになりました。修道士たちが村を去るときに地元の農家に製法を伝授し、次第に製法が広まって、各地で多くの農家が製造するようになり、19世紀にはパリやリヨンなどの都市部でも人気を博しました。ところが20世紀に入って、2度に渡る大戦で次々に農家が潰れ、とうとうエポワスを製造する農家はたった2軒に激減してしまったのです。この状況に危機を抱いたエポワス村のベルトー氏が立ち上がり、生き残った農家から製法を聞き出してベルトー社を設立。見事エポワスを復活させ、現在はベルトー社以外にも多くの企業がエポワスを製造しています。
製法で特徴的なのはレンネットではなく乳酸菌でミルクを凝固させている点。そして形成したカードを普通は塩水で洗いますが、このエポワスは塩水に少量のマール酒(ワインを作るときに出るブドウの搾りカスを再発酵させ蒸留したブランデー)を混ぜている点です。4週間の熟成期間中、マール酒は最初は薄めに、そしてだんだん濃くしてゆきます。
表皮は菌が作り出す天然の鮮やかなオレンジ色で、鼻にぬけるような刺激的な香りですが、生地は意外にもミルキーでコクがあり、高貴でエレガントな濃厚さがあります。初めての方は表面と中身のギャップに驚かれると思います。