チェダー Cheddar
- 分類:セミハードチーズ
- 産地:サマーセット州(イギリス)
- 乳種:牛乳
- 熟成期間:3ヶ月~60ヶ月
- 形状:円筒型(伝統的なもの)
- 直径:32~38cm
- 高さ:28cm
- 重さ:20~27kg
- 脂肪:45~48%
- 美味しい季節:1年中
■解説■
チェダーチーズは世界で最も工業化に成功したナチュラルチーズです。
その起源は16世紀頃にイギリスのサマーセット州のチェダーという小さな街で作られはじめたと言われていますが、その原型となるチーズはそれよりも早く、12世紀までにはあったとも言われています。少なくともチーズの名前にチェダーという土地の名前がつけられたのは16世紀からになります。
その製法はチェダリングと呼ばれる独特の方法でカードをこね(カットしたら、重ねてひっくりかえすを繰り返す/画像はその様子)、数センチ毎に細かく切り刻み、 そこに直接、塩をふりかけて型に詰めて圧搾します。このチェダリングという工程のためにチェダーチーズはボロボロと崩れやすい組織になります。同じイギリスを代表するチーズであるスティルトンもこのチェダリングによって作られています。
19世紀「チェダーチーズの父」と呼ばれたジョセフ・ ハーディングはチェダーチーズの製法を工場で大量生産する技術開発を進め、目覚ましい工業化に成功しました。その後、アメリカ、カナダ、ニュージー ランド等の世界各地でイギリス移民がチェダーチーズの製造をはじめたことから、現在では世界中で生産されています。
チェダーチーズの特徴としてその鮮やかなオレンジ色の生地がありますが、これは熟成によるものではなく、アナトーという天然の色素で人工的に着色したものです。一説によると、19世紀のイギリスでは牧草で育った牛のミルクで作ったチーズは黄色っぽい生地になり、とても価値が高いとされ、黄色っぽく着色するようになり、それが次第にエスカレートしてついにはオレンジ色に着色するようになったと言われています。
イギリスでは着色していないチェダーチーズも製造されており、区別するために着色したものは「レッドチェダー」、着色していないものは「ホワイトチェダー」と呼ぶことがあります。
チェダーチーズはプロセスチーズの原料になることが多いため、チェダーチーズの名前で販売していても、実はプロセスチーズだということも少なくありません。また、チェダーチーズはあまりにも世界各地で広く生産されすぎ、味や品質にもばらつきが激しく、一般にはチェダーチーズとい うと、他のナチュラルチーズと比べて風味に乏しく、味はしょっぱくて安っぽいという印象を持っている方もおられます。
しかし中にはしっかりとした品質の美味しいチェダーチーズを製造している農家や工房もあり、 15ヶ月以上熟成させたものは「ストロング・チェダー(strong Cheddar)」または「エクストラ・マチュア・チェダー(超熟成チェダー/extra-mature Cheddar)」と呼ばれ、濃厚な風味にあふれています。