Lesson7-7 ベルギーとドイツのチーズ事情

ベルギーのチーズ事情

チーズ大国のフランスとオランダに挟まれて目立ちませんが、ベルギーもなかなかのチーズ名産地です。7〜8世紀くらいから各地に修道院が建てられ、個性的なチーズが多く育ちました。また、1960年代くらいからアルチザンチーズの製造が活発になってきて、伝統的な製法が多く復活しました。

現在では300種類以上のチーズが作られており、フランスに次ぐ多種類チーズ国になっています。

ベルギーチーズの双璧、シメイとエルヴ

1850年、ベルギーのシメイ(Chimay)近くのスクールモン荒野にシトー派の修道士の一団がやってきて、修道院を建て、そこでチーズとビールの製造をはじめました。「シメイ」というとビールがとても有名ですが、ここのオリジナルのウォッシュチーズは塩水の他にビールで洗ったものがあり、独特の熟成感で知られています。

シメイ・ア・ラ・ビエール。シメイ修道院で開発された、ビールで洗うウォッシュチーズ。これも個性的なトラピストチーズのひとつ。もちろんシメイビールと相性バツグンです

一方300種類以上のベルギーチーズの中で、P.D.O.を取得しているチーズが幾つかありますが、それらはすべてエルヴ社という会社のチーズです。エルヴ社は創業800年の伝統を誇る、ベルギー最大手のチーズ会社ということになります。

このシメイとエルヴがベルギーチーズの双璧と言えるでしょう。

picturepartners/Shutterstock.com

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(エルヴ。ベルギーで最も有名なチーズ。このエルヴ社のチーズは画像のように四角い形が特徴的です )

ドイツのチーズ事情

チーズ生産国としては米国に次いで世界第2位(ヨーロッパでは1位)、輸出国としては世界随一のドイツですが、米国と同様、ドイツ発祥のオリジナルチーズはほとんど皆無です。

ドイツで作られているどのチーズも他国の伝統的なチーズをドイツ流にアレンジしたものばかりです。しかしそこはさすがドイツと言うだけのクオリティの高いものもあり、銘柄によっては侮れません。

ドイツで最も食べられているポピュラーなチーズがこのクワルクというフレッシュチーズ。フランスのフロマージュ・ブランにあたり、ドイツで国内のチーズ消費量の半分を占めます。食べ方はサラダに、グラタンに、ポテトに、おやつに、デザートに、朝から晩まで楽しめるチーズです。

Iryna Melnyk/Shutterstock.com

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■Lesson7-7 まとめ■

  • 1960年代くらいからアルチザンチーズの製造が活発ったベルギーは個性的なチーズが多く育ち、現在では300種類以上のチーズが作られており、フランスに次ぐ多種類チーズ国になっている。
  • ベルギーチーズの双璧の1つであるシメイというオリジナルのウォッシュチーズは、塩水の他にビールで洗ったものがあり、独特の熟成感が楽しめる。
  • もう1つベルギーで有名なのは、P.D.O.を取得しているチーズを製造するエルヴ社である。
  • ドイツはオリジナルチーズはほとんどなく、他国の伝統的なチーズをドイツ流にアレンジしたものが多いが、チーズ生産国としては米国に次いで世界第2位(ヨーロッパでは1位)、輸出国としては世界随一である。