Lesson8-4 チーズそのもので選ぶポイント

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あなたはチーズを選びにお店に行き、チーズの棚の前に立ちました。チーズそのものが見える形で売られている場合は、チーズを個体別に選ぶチャンスです。

まずはひとつひとつのチーズの表面をよく見つめ、遠いところで作られ、はるばるやってきたチーズとの対面を楽しんでください。切り口があるものはその断面もよく見てください。

見ているうちに、よいチーズ、ちょっと出来の悪いチーズ、好みのチーズ、今は無理だけどいつか仲良くなりたいチーズ、その場で今にも食べてしまいたいチーズ、同じ銘柄でもいろいろな個性があることがわかってきます。

 

良いチーズを選ぶ基準

どうせ選んで連れて帰るならなるべくよい子をつかまえたいと思っている方は、以下の点に注意してみてください。

  •  乾燥しすぎていないもの
  • 水分が出すぎていないもの
  • 表皮が潰れていないもの
  • 変色していないもの
  • 変形していないもの
  • 割れていないもの
  • カビの胞子がきれいに立っているもの

上記の要素は、チーズの種類によっては気にする必要のない場合もあります。例えば特別な製法で作っているチーズで、潰れ気味になっていたり変形しているのが当たり前のものなどがあります。また、チーズの生地は熟成するに従って白から黄色っぽく変化していきますので、全体が均一に黄色っぽく変色しているものは問題ありません。部分的に変色していたり、シミが出ているものなどは品質が劣化している可能性がありますので注意が必要です。

最初のうちはわからないことが多いかと思いますが、そういう場合はインターネットの通販サイトの写真を参考にしてみてください。販売用の写真は品質の高い個体を選んで撮影している場合が多いので、それがそのチーズの理想の個体だと考えてよいでしょう。

あとはとにかく食べてみることです。そしてその味と見た目の状態を覚えておく。それを繰り返すことによって、自分はどのチーズのどんな状態が好きで、それはどのような外観をしているかがわかってきます。あなたはどんどんチーズソムリエへの階段を上っているのです。

 

熟成の段階によって選ぶポイント

チーズは熟成の度合いによって表皮の状態が変わります。表皮の色や質感からどこまで熟成が進んでいるかを見極め、好みの熟成感を選ぶこともポイントです。例えば白カビチーズは熟成するに従って純白の表皮に赤茶色の模様が浮かんできます。ウォッシュチーズは色が薄いオレンジ色から朱色に近づいてゆきます。

指で軽くさわってみるのもよいでしょう。ただし、強く押してはいけません。商品ですので、あくまでも軽くさわる感覚です。熟成が若いものほど弾力があり、熟成が進んだものほどやわらかいか、種類によっては逆に硬くなっています。

ただし、熟成に関しては好みの熟成感を限定せずに、様々な状態のものを楽しむことをおすすめいたします。良いチーズは熟成の時期によって違った美味しさがあり、若いうちは美味しいけれど、熟成しすぎるとまずくなる、あるいはその逆、といったことが少ないものです。
例えばワインなどのお酒のお伴にチーズを探している方は、熟成が若いチーズに合うお酒、成熟したチーズに合うお酒、それぞれ組み合わせによって違った美味しさがあります。お酒との相性は今後詳しく学んでいきますので、そちらを参考にその日の気分などで熟成具合とワインの種類の組み合わせを選んでみましょう。

また、熟成の度合いによって使い道も変わってきます。例えばカマンベールの熟成の若いものを購入し、リンゴのスライスと一緒にデザートで食べる。とろとろに熟成してきたら、バターと一緒にバゲットに塗ってオーブンで焼き、おやつに食べる、等。このようにして熟成の段階に従って楽しみ方をあれこれ考えるのも、チーズのよいところです。

自分の好みを限定せずに工夫することで楽しみの幅が広がる。それもチーズの奥深さだと言えますね。

 

■Lesson8-4 まとめ■

  • よいチーズを選ぶ基準として以下の点に注意してみるとよい。① 乾燥しすぎていないもの②水分が出すぎていないもの③表皮が潰れていないもの④変色していないもの⑤変形していないもの⑥割れていないもの7カビの胞子がきれいに立っているもの。ただしチーズの種類によっては気にする必要のない場合もあるため、目的のチーズのベストな状態を事前に確認しておくとよりチーズ選びがしやすくなる。
  • よいチーズを選べる目を身につけるためには、基準を持って選ぶことと、とにかく食べてみてその味と見た目の状態を覚えておくことが大切である。これを繰り返すことで、好みのチーズの状態や外観を把握し、目的に合ったチーズが選べるようになる。
  • チーズは熟成の度合いによって同じチーズでも表皮や感触、使い道が変化し、味も変化していくため、熟成度もチーズ選びの1つのポイントである。
  • 熟成に関しては好みの熟成感を限定せずに、様々な状態のものを楽しむことがおすすめ。お酒や料理によって、熟成が若いチーズ、成熟したチーズ、それぞれに合うものがあり、その組み合わせによって違った美味しさがある。熟成の段階に従って楽しみ方をあれこれ考えることができるのも、チーズの楽しみ方の1つである。