ここでは、チーズの種類別に選ぶポイントを見てみましょう。ただし、同じ種類でも銘柄によっては例外がありますので、あくまでも参考までにとどめておいてください。
フレッシュチーズ
新鮮なものほどよいので、製造日がわかるものはなるべく新しいものを選ぶようにします。ただし、最近のスーパーなどで売っているフレッシュチーズはナチュラルチーズでありながら殺菌しているものがありますので、そういうものはあまり品質が変わりません。
フレッシュチーズの色は白が基本ですが、うっすら黄色味がかっているものもあります。これは古いのではなくミルクの質による可能性もあります。
イタリアのフレッシュチーズ、マスカルポーネ。これやフロマージュ・ブランのようなクリームチーズは中が見れない場合がほとんどですが、見れる場合は生地がなめらかで、水分が分離したりしていないものがよいものです。
ソフトチーズ
熟成が進んでいるものは表皮が黄色味がかってきます。色が均一でなく、シミのようになっているものは品質が劣化している可能性があります。間違って買ってしまった場合はシミの部分から劣化が早まりますので、シミの周囲だけ取り除いて早めに食べるようにしてください。
たまに青カビも生えてきているものがありますが、品質に問題はありません。周囲から茶色くグラデ—ションのようになっているものは悪玉菌が繁殖している可能性があります。
白カビチーズ
白カビの生え方が均一で、胞子がしっかり立っているものが理想です。ふちが硬くなっているものや、形がいびつなものは注意が必要です。熟成が若いものはきれいな純白ですが、熟成が進むと赤茶色の模様が浮き出てきて、アンモニア臭がしてきます。
青カビチーズ
青カビチーズは銘柄によって青カビの入り方が異なりますが、だいたいにおいて青カビは全体的に平均してちらばっており、カビの色はグレーがかったブルー、またはグリーンが理想です。種類によって熟成が若いと青カビが中心に集中しているものもありますが、これは品質が劣っているわけではなく、製造工程によるものです。青カビが茶色っぽくなっているものは品質が劣化している可能性がありますので注意が必要です。
青カビの穴が空いているものは、胞子がしっかり立っているものが理想です。生地は乳白色でつやがあるものを選ぶようにしてください。極端に黄色味がかっているものは注意が必要です。
ロックフォールの生地。青カビの穴が均等に大きく開き、胞子がしっかり立っているのがわかります。
ウォッシュチーズ
銘柄によって表皮の標準的な質感が乾き気味のものと、湿っているものがありますので、どういった状態が理想かは一概には言えませんが、全体的に色合いや質感が均一で美しいものを選ぶようにしてください。
全般的に熟成が進むとねっとりと湿ってきて、色が濃くなってきます。部分的にシワがよっていたり変色していたりするものは注意が必要です。
フランス・シャンパーニュ地方のウォッシュチーズ「ラングル」。このチーズは他の通常のチーズの熟成期間中に当たり前のようにやる上下を反転させる行為、これを一度もやらないため、形がこの画像のように若干ゆがみがちになりますが、品質が悪いわけではありません。
このように銘柄によっては特徴的な製造方法のため例外があることは心に留めておいてください。
セミハードチーズ
生地の組織のきめ細やかさが均一で、全体的にみずみずしさと弾力性があるものが理想です。シミがあったり、へこんでいたりするものは品質が劣化している可能性があります。
ゴーダチーズの断面。色の濃い表皮周辺から色の薄い中心に向かってきれいなグラデを描いているものが理想です。
ハードチーズ
シミがあったり、へこんでいたりひび割れているものは品質が劣化している可能性があります。表皮に脂肪分が滲み出てきているようなものは劣化しているか、劣化が早い可能性があります。
エメンタールのようなチーズの目があるものは、目の大きさが均一で平均的に散らばっているものが理想です。
パルミジャーノ・レッジャーノ。ぽつぽつと浮き出ている白い結晶はアミノ酸の旨味成分が固まったものですので、品質が劣化しているわけではありません。むしろよく熟成されて美味しくなっている印です。
シェーブルチーズ
木炭粉をまぶしてあるものは全体が均一に覆われているものが理想です。カビが生えていても品質に問題はありませんが、やはり均一になっているものを選ぶようにしてください。
シェーブルは生地がやわらかく、表皮がやぶれやすいので特に注意が必要です。
セル=スュル=シェル。シェーブルチーズは木炭粉の上から白カビや青カビが生えてきますが、品質には問題ありません。均一にむらなく生えてきている限りは順調に熟成が進んでいる証拠と言えます。