Lesson9-2 チーズの原料

チーズとは簡単に言うと、いわゆる脂肪とタンパク質の塊です。しかしそんなおおざっぱな言葉で片付けてしまったらバチが当たるくらい、人間の体を丈夫にする栄養素が豊富に詰まっているのです。

まずはチーズの原料となるミルクの栄養素から分析してみましょう。

 ミルクの栄養価

ミルクにふくまれる栄養価を動物別に比較すると以下のようになります。

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ミルクはチーズにして熟成させることにより、格段に栄養価が高くなります。ミルクをチーズにすることによって体積が約1割くらいになるため、同じ量ならミルクの十倍の栄養がチーズには含まれているわけです。

しかも、ミルクを飲み過ぎるとお腹がゆるくなることがありますが、チーズはその原因になる乳糖も取り除いてありますので、その心配もありません。

まさにチーズはミルクを「いいとこ取り」した健康食品だと言うことができるでしょう。

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カルシウムについて

カルシウムは骨や体を丈夫にするだけでなく、イライラ防止やホルモンバランスの調整、アンチエイジング効果もあります。子供の発育にもよいので、積極的に食べさせたいものです。

また、カルシウムは通常体に吸収されるのが難しい栄養素ですが、チーズに含まれるカルシウムは乳酸菌の働きによって、体に吸収されやすいカルシウムに変化しています。チーズは乳酸菌で発酵させることによって、ただミルクから栄養素を抽出しただけにとどまらない、様々な効果が加わっているということです。

タンパク質について

タンパク質は人間の体を作る重要な栄養素で、スポーツや運動をするときの栄養補給にも最適です。

また、タンパク質のおかげでチーズはお酒ととても相性の良いお伴になっているのです。タンパク質が胃壁に膜をつくり、アルコールのダメージをやわらげてくれることはよく言われますが、さらにチーズのタンパク質は肝臓の働きを活発にし、二日酔いの原因となるアセトアルデヒドの分解を促進してくれる働きもあります。

タンパク質と言えば肉をイメージする方もいらっしゃると思いますが、だいたい300gの肉に含まれるタンパク質は、210gのチーズに含まれるタンパク質に相当します。チーズが非常に高タンパクな食物であることがおわかりいただけるかと思います。しかもただ高タンパクなだけではありません。チーズのタンパク質はカルシウムと同様に、乳酸菌によって分解されてペプチドやアミノ酸になっているため、とても体に吸収されやすいのです。

カロリーと脂質について

チーズはなかなか高カロリーな食べものです。これは乳脂肪が豊富に含まれていることに起因します。ところがチーズは意外と太らないのです。実はチーズにはビタミンB2が豊富に含まれており、これが脂肪を燃焼させる効果があるのです。

チーズは一度にそれほど多くの量を食べるものではありませんし、適度の量にとどめている限りはむしろダイエットに最適な食べものだと言えます。

それでも気になるという方は、白カビチーズやシェーブルチーズなどの脂肪分の少ないチーズを選んで食べるようにしてください。

実際の脂肪分の見方について

脂肪分の少ないチーズとして白カビチーズやシェーブルチーズを挙げました。市販されているチーズの脂肪分表記を見ると、これらのチーズは特に脂肪分が少ない印象はありません。これにはちょっとしたカラクリがあります。

実は脂肪分表記はチーズの水分をゼロにした上での数値なのです。例えば白カビチーズのようなソフト系のチーズは重量の半分くらい水分が含まれていますので、脂肪分45%と書いてあっても実際はその半分の22%くらいが正しい購入時の重量に比する脂肪分です。
例えばパルミジャーノ・レッジャーノは脂肪分が35%ですが、水分が35%以下ですので、同じ重量ならカマンベールのような白カビチーズより含まれている脂肪分は多いということになります。

ダイエット中の方で脂肪分を気にされる方は、以下の表を実際の脂肪分の目安としてください。

チーズの実際の重量に対する脂肪分

  • 白カビチーズ・・・・・16〜22%
  • ブルーチーズ・・・・・34〜35%
  • ウォッシュチーズ・・・20〜23%
  • セミハードチーズ・・・20〜26%
  • シェーブルチーズ・・・15〜25%

ただし、チーズも時間とともに水分が蒸発しますし、種類や銘柄にもよりますので、あくまでも目安として参考までにとどめておいてください。また、フレッシュチーズなどは非常に水分が多いので脂肪分は少なめですが、生クリームを加えてあるものは脂肪分が多いので注意してください。

■Lesson9-2 まとめ■

  • ミルクの栄養価は動物により差がある、チーズにして熟成させることで、格段に栄養価が高くなり、同じ量ならミルクの十倍の栄養がチーズには含まれている。
  • チーズは乳糖も取り除かれているため、お腹が緩くなる心配がなく、乳糖を分解する酵素を持つ人が少ない日本人でも安心して取り入れる事ができる。
  •  カルシウムは骨や体を丈夫にするだけでなく、イライラ防止やホルモンバランスの調整、アンチエイジング効果が期待されているが、チーズに含まれるカルシウムは乳酸菌の働きによって、体に吸収されやすいカルシウムに変化しているため、効率的にカルシウムを摂取することができる。
  • チーズの豊富なタンパク質は、胃壁に膜を作りアルコールのダメージを和らげるだけでなく、肝臓の働きを活発にし、二日酔いの原因となるアセトアルデヒドの分解を促進してくれる働きもある。
  • チーズは肉に比べてタンパク質量が多く、乳酸菌によって分解されてペプチドやアミノ酸にな変化しているため、体に吸収されやすく効率よく摂取することができる。
  • チーズは乳脂肪が豊富で一見高カロリーに見えるが、チーズにはビタミンB2が豊富に含まれており、これが脂肪を燃焼させる効果があるため太りにくい食品といえる。
  • チーズの脂肪分表記はチーズの水分をゼロにした上での数値である。
  • チーズの脂肪分が気になる場合は、脂肪分の少ない白カビチーズやシェーブルチーズを選ぶとよい。あくまでも目安だが、水分量が少ないチーズは脂肪分も高くなりがちで、ブルーチーズも比較的脂肪分が高くなっている。