チーズコラム⑧「テット・ド・モワンヌ」専用削り器「ジロール」

スイスにテット・ド・モワンヌ(Tête de Moine/修道士の頭)というセミハードチーズがあります。

このチーズは単独ではそれほど有名なチーズではなく、1981年まで年間の生産量が約200トンくらいだったのですが、80年代から突如として売上を伸ばし、2012年には2,191トンの生産量を記録しています。

その理由はなんとこのチーズ専用の削り器が開発されたことがきっかけなのです。
その器具の名前は「ジロール」

このジロールにテット・ド・モワンヌをセットし、取手をくるくる回すと、生地が花びらのように削れます。ふんわりと薄く削れて、チーズの風味がかろやかに香りながら舌の上で溶けてゆく。美味しくて見た目もおもしろく、パーティーの余興にも最高ということで、一気にチーズ界の話題となりました。

テット・ド・モワンヌはこの道具とセットで売れに売れ、2001年にはついにかのA.O.C.に認定されるまでに至りました。

Artit Wongpradu/Shutterstock.com

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ちなみにジロールは他のハード系のチーズにも使えますが、やはり専用に開発されたものだけに、テット・ド・モワンヌが一番よく削れます。あと、かたまりが小さいとうまく削れません。

このジロールという器具は日本でも販売されており、参考までにAmazonを見ますと木製のものが3,000円くらい、大理石製のものが14,000円くらいから販売されています。ちょっとお値段ははりますが、チーズ仲間と共同で購入し、チーズ・パーティーなどを開いて皆で一緒に楽しむのもよいかもしれません。