Lesson4-1 チーズのあけぼの

私たちが大好きなチーズ。その発祥と発展の歴史をご存知でしょうか。Lesson4ではチーズを歴史的視点から紐解いていきましょう。

 

チーズの発明はいつ?

いったいチーズはいつ頃、発明されたのでしょうか? 実はこれがよくわかっていないのです。 チーズは人類最初の加工食品と言えるほど古い歴史を持つものだけに、はっきりした記録が残っていません。

人類が文字などの文化を使いこなせるようになるはるか昔から、人間はチーズを食べ始めていました。それはきっかけというほどのものもなく、ミルクは何もせずに放置しておくと、自然と乳酸菌による発酵がはじまり、カードとホエイに分離するのです。乳アレルギー体質だった古代人が、固形化したミルクを食べるとアレルギー症状が起こりにくくなるという事実に気がつくのは時間の問題でした。
そのため、人類がミルクを飲み始めたのと、発酵して固形状になったものを食べはじめたのは、ほぼ同時期だったと考えらます。

では人類とミルクはどのように結びついてきたのでしょうか。

 

家畜と酪農のはじまり

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人間が家畜を飼いはじめたのは紀元前8500年くらいの中近東の山岳地帯で、最初は山羊、次に羊、そして牛の順番でした。当初は食料としての肉と、と殺した後は皮を衣類に、骨を道具に利用するのが目的でした。

家畜が酪農目的に変わってきたのが紀元前6500年程だと言われています。これはアナトリア半島(現在のトルコ)などの遺跡から出土される器や鍋に付着している脂肪やタンパク質の分析により解明されてきました。 時を同じくして、中近東や中央ヨーロッパなどで、底に穴の空いた器が出土されるようになり ました。これは固まったミルクを入れ、底の穴からホエイを排出し、カードを抽出するためのものだったと言われています。(果物から果汁をとるためのものという説もあり。)

明確にチーズが作られた証拠が出てくるのは紀元前4000年頃のメソポタミアやエジプトの文献や工芸品からです。

つまり家畜がはじまった紀元前8500年くらいからこの頃までの4千年あまりのうちに、いつのまにか人類はチーズを食べるようになっていました。恐らく酪農目的に変わってきた紀元前6500年より前に、それもかなり早い時期に人類はチーズのようなものを食べはじめていたのではないでしょうか。

■Lesson4-1 まとめ■

  • チーズの発明歴史が古いこともあり諸説あるが、酪農が始まりミルクの歴史と同時期くらいだとされる。
  • 人間と家畜の歴史は紀元前8500年くらいの中近東の山岳地帯が始まりとされ、最初は山羊、次に 羊、そして牛などが飼育されていた。
  • 家畜が酪農目的に変化したのは紀元前6500年くらいと言われており、現在のトルコの遺跡から出土される器や鍋に付着している脂肪やタンパク質が発見されている。
  • 明確にチーズが作られた証拠が出てくるのは紀元前4000年頃のメソポタミアやエジプトの文献 や工芸品からである。