Lesson6-5 おすすめチーズ⑤ ブリー・ド・モー

ブリー・ド・モー Brie de Meaux

Joe Gough/Shutterstock.com

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  • 分類:白カビチーズ
  • 産地:イル=ド=フランス地方、他(フランス)
  • 乳種:牛乳(無殺菌乳のみ)
  • 熟成期間:4週間以上
  • 形状:円盤型
  • 直径:約35cm~37cm
  • 高さ:3cm
  • 重さ:2.5~3kg
  • 脂肪:45%以上
  • 美味しい季節:1年中

■解説■

カマンベール・ド・ノルマンディーがカマンベールの元祖なら、このブリー・ド・モーは白カビチーズの元祖と言えます。

カマンベールはこのブリーを参考に開発されました。 ブリー・ド・モーの特徴として、まずその巨大で平べったい見た目が挙げられます。直径が35cm くらいあるのに、高さはわずか3cm。これには理由があって、白カビチーズは表皮から中心に向かって熟成が進んでいくのですが、表皮の白カビのアンモニア臭が鼻を突くほどきつくなる直前 に中心まで熟成が達する、その絶妙のタイミングにぴったりの厚さがこの3cmなのです。

やわらかい生地でこの形状ですから、大変くずれやすく、これほど運搬に適していないチーズが広く普及したのも、このチーズがイル=ド=フランス地方のブリー村というパリに近い場所で開発されたからこそかもしれません

中世からフランス王侯貴族に愛され、1815年のウィーン会議では、なぜか会議そっちのけでチーズ品評会が開かれ、全52種類の中からこのブリーが「チーズの王様」に選ばれました。

チーズを食べ尽くしたフランス人が、生涯最後に選ぶのがこのブリー・ド・モーと言われています。実際、人生最後にブリー・ド・モーを食べたがった人物として、ルイ16世がフランス革命で国外に逃亡しようとしたとき、ブリーが食べたくて馬車を止めたために革命軍に捕まったというエピソードが知られています。

ブリーの歴史は古く、一説によるとLesson4-4で言及したカール大帝が食べた珍しいチーズとは、 このブリーだったのではないかと言われています。 カマンベールと比べるとクセがなく、上品な味わいです。成熟してもマイルドさは失いませんが、 ナッツのような風味と濃厚なミルクのコクが出てきます。