チーズの選び方
チーズの選び方は、何かテーマがあると決めやすくなります。テーマと言ってもそんな壮大なものではありません。あくまでもチーズを選びやすくするための、ちょっとした「とっかかり」または「きっかけ」というほどのものです。
テーマを決めたら、そこからバラエティを考えてチーズを選んでゆきます。バラエティに富んでいると見た目もよくて、いろんな味や種類が楽しめますので、以下の要素を意識して、同じタイプはなるべく重ねず、異なるタイプのチーズを選ぶようにしてみてください。
- 種類(フレッシュ、白カビ、青カビ、ウォッシュ、ハード系)
- 味(マイルドから濃厚なものまで)
- 乳種(牛、羊、山羊、水牛)
- 見た目(色合い、形)
旬のチーズを揃える
テーマで最も基本的なのは、旬のチーズを揃えるということです。
旬のチーズとは、原料となるミルクが一番おいしい時期、つまり家畜の良好な泌乳の時期に搾乳されたミルクを使って作られたチーズのことをいいます。これにチーズの熟成期間を足した時期がそのチーズの旬ということになります。
例えば牛のミルクを使っているカマンベール。
牛のミルクはLesson8-3「夏に作られた美味しいチーズ」の項でもご説明した通り、だいたい春夏に搾乳されたものがベストですので、カマンベールの通常の熟成期間が約1ヶ月ですから、春の終わりから秋にかけてがカマンベールの旬ということになります。
ひとつのチーズをまず決める
一番決めやすいのは、まずひとつだけ目玉となるチーズを決めることです。
自分の好みやこだわりでも、ゲストの顔を思い浮かべながらでも、旬の話題からでもいいので、これだけは外せない、というチーズをまず決めましょう。そうすることでそのチーズを中心に、バラエティを意識して他のチーズを選んでいくことができます。
例えばイギリスでは青カビチーズのスティルトンをクリスマスに食べる習慣があります。そこで時期がクリスマスならイギリス風にスティルトンを最後にもってくる構成で、他のチーズを選んでみたりします。
その他のテーマ
その他、同じ地方の特産チーズで揃える、同じ工房のチーズばかりで揃える、珍しいチーズばかりを選ぶ、などなど、あなたの発想次第で様々なテーマが考えられます。
例えば香りの高いチーズ、味の濃厚なチーズ、見た目がおもしろいチーズ、食感が楽しいチーズ、話題のチーズなどのコンセプトでひとつずつ選んで「五感で味わうチーズプラトー」など。
あるいはその日のメインの飲みもの、例えば赤ワインに合うチーズばかりで揃える、というのもいいかもしれません。
また、あえてバラエティをつけず、同じようなチーズを揃えて食べ比べを楽しむのも一興です。例えば白カビチーズばかりを集めてみたり、下の画像のようにシェーブルチーズで統一してみたり、また同じようなチーズの農家製と工場製を揃えて食べ比べてみたり、余興でブラインド・テイスティングなどを楽しんでみる、などなど。
とにかくテーマはそれがあったほうが選びやすいというだけのものですので、あまり肩肘張らずにチーズ選びを楽しみましょう。その楽しみと経験をつむことで、あなたがチーズソムリエにまた一歩近づいていきます。
■Lesson11-3 まとめ■
- チーズ選びに明確なルールはないが、何かテーマがあると決めやすくなるため、先にテーマを決めるとよい。
- テーマを決めたら、そこからバラエティを考えてチーズを選んでいく。チーズの種類、味、乳種、見た目などの要素を意識して、同じタイプはなるべく重ねず、異なるタイプのチーズを選ぶようにすると見た目もよくて、いろんな味や種類が楽しめる。
- テーマで最も基本的なのは旬のチーズを揃えること。旬のチーズとは、原料となるミルクが一番おいしい時期、つまり家畜の良好な泌乳の時期に搾乳されたミルクを使って作られたチーズをさす。
- 一番決めやすいのは、まずひとつだけ目玉となるチーズを決めること。自分の好みやこだわり、ゲストの顔の好み、旬の話題など、これだけは外せないというチーズをまず決めることでそのチーズを中心に、バラエティを意識して他のチーズを選んでいくことができる。